日常のナカノ1分漢方

日常の中にある、淡くて感じることのないような漢方との接点ついて、およそ1分程度で読めるように書いていきたいと思います。きっと更新頻度は週に1回程度、ゆるくおつきあいください。

正月に飲むお屠蘇はただの日本酒やみりんでなく元々は漢方薬だった事をご存知ですか?

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屠蘇散(とそさん)はお屠蘇(おとそ)のもとです

正月に飲まれるお屠蘇、最近では飲まないご家庭も終わりかと思いますけれども、私が小さい頃の我が家ではみりんとお酒を混ぜたものをお屠蘇として飲んでいました。

私はずっとお屠蘇は縁起の良いお酒と思っていました。

お屠蘇の認識が変わったのは漢方薬局に勤めはじめてからでした。

私の勤めていた漢方薬局は当時、年末になると、漢方相談に来られている患者さん全員にお屠蘇を配っていたのです。

そこで、お屠蘇が漢方薬であると初めて知ったのです。

お屠蘇はもう少し正確にいうと、屠蘇散(とそさん)という粉末状の漢方薬をお酒やみりんで浸けたものです。

この屠蘇散、唐の時代の中国から伝わったと言われています。

そして屠蘇散の名前の由来ですが、蘇(中国の伝説の生き物で日本で言えば鬼のようなもの)を屠る(ほふる→今の日本語でいえば葬るに近い言葉です)、つまり鬼をやっつける粉の薬という感じの意味になります。

日本には節分という習慣があるように、鬼をやっつけるという感覚が日本人に馴染みやすかったのではないかと思います。

では、この屠蘇散の中身はどんな生薬で構成されているのかというと・・・
本草綱目という古い書物の中に書かれている屠蘇散の構成生薬はかなりすごい内容です。

中身は白朮、防風、桂皮、ばぼつ、赤小豆、大黄、 烏頭などからなっています。

この中の大黄は強烈な下剤です。

そして烏頭はトリカブトの主根を乾燥させたものです。

トリカブトをご存じない方もおられるかもしれませんが、これは猛毒で1gでも 食べたら半分の人が死んでしまう位の毒性なのです。

この配合なら確かに(鬼)を屠れ(葬れ)そうです。

こんなの飲むの?

ご安心ください。

現在の屠蘇散は違います。

桂皮、白朮、桔梗、山椒、防風、かんきょう、陳皮、細辛などの中から6~7種類の生薬が使われていることが多いです。

どの生薬を使うかは薬局やメーカーによって異なります。

中身の生薬によって若干効能は異なりますが、だいたい主なものは温めて、風邪を予防するようなものと胃腸を整えるものが入ったものと考えるとほぼ間違いないと思います。

きっと、お正月の時期は寒いので風邪を引かないようにすることと、当時は1年で一番のごちそうをだべる時だったので胃腸を整えるという目的で作られたのではないかと思います。

この屠蘇散、うちの薬局には置いてません。

でも、最近はドラッグストアーでも売っているようです。

数日前、見かけました。

もし興味があれば買って見てください。

私が見かけた店では200円弱でした。



カコナールという、ドリンクタイプの風邪薬が漢方薬だってを知っていましたか?

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カコナールってドリンクタイプの風邪薬、実は葛根湯の事なんです。(知っている人もいるとは思いますが・・・)

 

ちなみに葛根湯、どんな風邪に使うかご存知ですか?

 

葛根湯は俗にゾクゾクきたら葛根湯といわれるように寒気を伴った風邪に使われるものです。

 

漢方の風邪の治療の考え方は、西洋医学とは全く異なります。

 

病院ではまず、細菌性のものなら抗生物質、インフルエンザならタミフルに代表されるような抗インフルエンザ薬に解熱剤、痰切り、鼻水やくしゃみを取り除くような漢方薬を併用することが多いと思います。

 

一方、漢方は風邪の場合、最も重要な指標にしているのは患者さん自身が冷えているか、熱っぽいかです。

 

冷えていれば温めることが治療になりますし、熱っぽければ冷やすことが治療になるのです。

 

漢方の基本的な考えは患者さんの今の病気の状態と反対の事をして、身体をまん中の状態にもってとしているのです。

 

そこで大事なるのは今がどんな状態か?です。

 

それを知るために問診や舌診や脈診などをするわけです。

 

そこから患者さんが正常状態の時と比べ、身体がどっちに偏って(たかよって)いるか把握するのです。

 

 

風邪の場合、漢方で患者さんが冷えているかどうか判断する基準となる症状は、寒気(ゾクゾクする)、くしゃみがでる、鼻水が透明などです。

 

これらの症状があれば、冷えが原因で風邪を引いたと考えます。

 

そうすると、この場合は、温める漢方薬を用いるのです。

 

葛根湯は温めて風邪を治す代表的な薬なのです。

 

ここからが大事です!!

 

葛根湯は温める薬なので、温ためて服用した方が効果が高いのです。

 

当然、コナールも葛根湯ですから、温めたほうが効果が高いのです。

 

でも・・・

 

思い出してください。

 

カコナールって、ドラッグストアーだと、ドリンカー(冷蔵庫)の中に入っていたりしませんか?

 

あれだと冷えているので葛根湯の効果が弱まるのです。

 

では、どうすればいいのか?

 

直接電子レンジも、湯煎も危険です。

 

比較的安全で、効果が高いのは、カコナールを、カップに入れて熱~いお湯を注ぐのが一番無難だと思います。

 

フーフーしながら飲むのが葛根湯の正しい飲み方なのです。

 

そのひと手間が葛根湯の効きに影響するのです。

 

ぜひお試しください。

 

 

性病に効く漢方薬がある?!

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竜胆(りんどう)の根っこを乾燥させたものを漢方では竜胆(りゅうたん)と呼びます。  竜胆瀉肝湯の名前の由来はここからきています。


漢方薬の中に性病に効く漢方薬があるのをご存じですか?

 

実は漢方薬の中に性病に効く漢方薬があるのです。

 

もう少し正確に書くと、性病に効くことがある漢方薬があるのです。

 

抗生物質が存在しない昔には良く使われていたそうです。

 

この漢方薬、すべての人のすべての性病に効くわけではないです。

 

主に用いられていたのは淋病です。

 

この淋病に用いられていた漢方薬は比較的メジャーで竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)といいます。

 

一般的な漢方薬としてドラッグストアとかにも置いてあるところはあると思います。

 

この竜胆瀉肝湯、現在で市販されている外箱の効能書きには、膀胱炎の薬となっています。

 

ただ、すべての膀胱炎に使えるわけではありません。

 

症状の特徴としては、体力があり(中程度以上)、激しい排尿痛、尿濁、女性の場合、においの強いおりものなどを伴う膀胱炎の場合です。

 

結局、このような激しい症状を伴う膀胱炎の場合、膀胱炎を起こす原因菌が淋菌であることが多いのだと思います。

 

そのため、このような症状を伴う、陰部の掻痒や湿疹などがある淋病であれば効く可能性があります。

 

昔、務めていた薬局で、ある一時期この竜胆瀉肝湯がバカ売れした時があります。

 

その時に、中年のおじさんから「おたくには性病に効く漢方薬があるそうじゃないか!!それをくれ!!」といわれたことが何度もありました。

 

何でも、うちの薬局で竜胆瀉肝湯を買って性病がとてもよくなった患者さんがいて、風俗仲間みんなに紹介したようです。

 

しかし、性病にかかった人が全員が全員、淋病ではありません。

 

そして漢方薬の場合、先ほどの効能書きのところにも説明があるように、同じ症状の患者さんであっても体力がある人には効くけど、体力のない人には効かない事が多いのです。

 

そのため、ブームは急激に去ったのです。

 

それでも、先ほどの症状(+体力がある)を伴うような淋病であれば、効く可能性はあると思います。

 

さっき検索してみたら、アマゾンとかでも簡単に手に入れることができるようです。

 

責任は負いかねますが、興味と心当たりのある方はぜひ一度お試しください。

 

 

 

漢方薬とハーブに飲み合わせがあることをご存知ですか?

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漢方薬とハーブに飲み合わせがあることをご存知ですか?

 

この事を知らない方は案外多いのではないかと思います。

 

そこで今回はこの話をしてみようと思います。

 

まず、最初にハーブを日本語に訳すとどういう言葉になると思いますか?

 

ハーブを日本語に訳すと薬草になります。

 

一方、漢方薬を英訳するとチャイニーズハーブスと翻訳できます。

 

つまり漢方薬とは中国の薬草が複数集まったものということなのです。

 

漢方薬にはそれぞれ決まった生薬(薬草)が、決まった比率で入っており、決まった効能(働き)があります。

 

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漢方薬イメージ

 

その漢方薬に別の生薬(薬草)を追加することを加味すると言います。

 

そうすると、もともとあった漢方薬の効能は生薬(薬草)を加味することによって変わってくるのです。

 

それはイメージとしては水彩絵の具の色に他の水彩絵の具の色を少し加えるようなものです。

 

青色に水色を少し足しても、それほど大きくは変わらなかったりしますが、青色に黄色や赤色を混ぜると色が劇的に変化しますよね。

 

漢方でも同様のことが起こります。

 

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つまり、元々のあった漢方薬に一つ生薬(薬草)を加えることによって全く別の効能になってしまうようなことが起こり得るのです。

 

そのため、日本漢方においては、「この漢方薬にはこういう生薬を加えると相性がいいですよ」というノウハウが過去の文献(書籍)の中に残っています。

 

それらを学ぶことで、もともとあった漢方薬の効能を大きく外すことがなく、漢方薬を用いることができるのです。

 

逆にその漢方薬に相性の悪い生薬(薬草)を加えると、もともとの漢方薬の働きを悪くしてしまうこともあるのです。

 

先ほどの話に戻しますけれども、漢方薬は薬草が複数集まったもので色に例えれば、固有の色彩を持っています。

 

そしてハーブ(薬草)も固有の色彩を持っています。

 

もし漢方薬を飲んでいて、それを服用した後にハーブティーを飲むようなことがあれば、この二つは色が混ざってしまいます。

 

この飲むハーブティーによっては漢方薬の効能に大きく影響(悪い方向に)してしまうことがあるのです。

 

ではこのような状況にならないためにどうしたらいいのか?

 

一番無難なのは、漢方薬を服用している間はハーブティーを飲まないことです。

 

あとは漢方薬を出してもらっている漢方薬局や薬店で、そこでこんなハーブティを飲んでいますと伝えることです。

 

ある程度の経験値のある先生であれば、どうすればよいか適切なアドバイスをもらえると思います。

立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花、ここに出てくる植物はすべて漢方生薬なのをご存じですか?

立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹(ぼたん)、歩く姿は百合(ゆり)の花、この言葉は日本に昔からある美人を形容する言葉です。

 

ここに出てくる芍薬、牡丹、百合すべて漢方生薬なのをご存じでしたか?

 

ただし用いられる場所は花ではなく根っこです。

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芍薬の花


芍薬の根っこには作用が大きく二つあり、根っこをそのまま乾燥させたものを赤芍(せきしゃく)といい、血液をサラサラにする作用があります。

 

芍薬の根っこの外側の皮を取り除いて白い部分だけを乾燥させたものを白芍(びゃくしゃく)といい、漢方的に言う補血作用や筋肉の過剰な緊張(けいれん)を取り除く作用があります。

 

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牡丹の花

 

牡丹の根っこの皮を乾燥させたものを牡丹皮といい、これも血液をサラサラにする作用があります。

 

牡丹も芍薬も同じ牡丹科で同じ種類の仲間です。

 

そのせいもあってか、漢方的に言う血(けつ)の部分に働く作用があります。

 

これらを含んでいる代表的な漢方薬に桂枝茯苓丸という漢方薬があります。

 

この漢方薬は女性の血行不良(瘀血:おけつ)を改善するファーストチョイス的な漢方薬です。

 

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百合の花

 

また、百合の根っこを乾燥させたものを百合(びゃくごう)といい、これは咳止めなどに用いられます。

 

つまり百合(びゃくごう)とは百合根を乾燥させたもののことなのです。

 

ユリ根が採れる時期というのが秋から冬にかけてです。

 

これはちょうど日本で風邪が流行り咳がよく出る時期と一致するのです。

 

季節の旬の食べ物にはその季節に起こる病気を防ぐ力があるという風に昔から考えられているのですが、百合( びゃくごう:ユリ根)もまさにそのようなものの一つだと思います。